2018年7月の園長通信より、その一部をお届けします。
毎日、教室で。
暑さが猛威を振るっています。また、地方によっては、大雨が災害をもたらしています。私たちは、自然の脅威を感じる時に、その力を畏れる気持ちを思い出すようです。しかしながら、何も起こらないような日常の中にも、大きな摂理に従った営みが行われています。
子どもたちの成長もその一つではないでしょうか。大人は、目に見える変化や、自分たちが勝手に作った「完成図」に照らして、「成長」を計ったりします。でも、子どもたちは、その思惑をよそに、自らが持つ力によって、もっともっとはるかな場所を目指して伸びようとしています。
そんな気付きを教えてくれる子どもたちの様子をお伝えします。
「お仕事」の小窓 第7回
モンテッソーリのお仕事の時間は、「自由」な時間です。「自由」とは、「自分勝手」とは違います。「わがまま」とも違います。自らの仕事を選択し、それに専念してやり通して完成させ、終われば、自分で片づけて、また、次の仕事に取り掛かる。その責任を果たすことを、子どもたちは学んでいきます。お仕事をしている他のお友達を尊重なくてはなりません。邪魔することは許されないのです。秩序を乱す限り、「自由」を与えられることはありません。
それぞれが、今一番興味のある、今一番やりたいお仕事を選び、取り組む中で、子どもたちは「自由」を学び、身に付け、享受していきます。
教師たちは、子どもたちが提示無しでもできるお仕事を選べば、自ら取り組むように見守り、提示が必要な時にはそっと近づき「やってみせる」ことをします。
今日、紹介する場面の中に、教師が「しなさい」と言ってさせたものは一つもありません。教室で一番良く使われる言葉は、教師からは「やってみる?」「見ててね」子どもたちからは「やってみたい」「てつだって」でしょうか。自由が与えられた中で、自ら学び、自ら育つ姿です。
【① 絵カード合わせ ② 単語ならべ】(言語教育)
① モンテッソーリ教育に触れて間もない年少さんが、「しんかんせん」の絵カード合わせを行っていました。絵と絵を合わせるまでは一人で。文字のカードを並べる時も、少しやってみせると、すぐに、「これ、どくたーいえろー」と、合わせることができていました。完成した後、ご満悦の表情になり、その場から動こうとしません。
② 果物の模型を使って、単語ならべをしています。集団提示の時には、ひらがなで行い、同じ札の裏にはカタカナがあることだけを紹介しました。そのことが記憶に残っていたのでしょう。自らカタカナの面を選び、完成させていました。
【① 構成三角形 ② 茶色の階段とピンクタワー】(感覚教育)
① 構成三角形は、年少さんが全く提示を受けずに、自らその教具を選び行いました。ガイド線は無視されていますが、図形の同一性を見抜き規則性のあるパターンを作り上げています。
② 茶色の階段とピンクタワーは、基本の積み方を発展させて、少しずつ積む位置を中心からずらし、バランスを取りながら積み上げています。ふだんは賑やかな年長の男の子が、一人、黙々と取り組み完成させて「見て」と呼びに来てくれました。
【国旗を描く】(文化教育)
しばらく、国旗の塗り絵をする時期が続きましたが、満を持して、国旗を描いてみることを勧めると、これが「大流行」。旗を描くことから、国の名前に対する興味だけでなく、漢字に対する興味まで、膨らんでいるようです。