ミライ園長通信 2018年8-9月

2018年8-9月の園長通信より、その一部をお届けします。

子どもと学ぶ、子どもと育つ

「成長」という言葉があります。身体的な成長は、限界があるでしょう。しかし、知性や感性、心を磨き続けることを続けて行けば、年を重ねるごとに成長できるのではないかと信じたいものです。事実、脳の発達は20代で止まるのではなく、60代、70代でも知能は高めていけるそうです。それでも、毎日、いえ、一瞬ごとに伸びゆく子供たちにはかないません。

マリア・モンテッソーリは、次のように語っています。「子どもは大きな使命を持っていて、それが子どもを突き動かします。その使命とは、成長して一個の人間になることです。子どもはその使命と内部の欲求に気づいていないし、大人はその欲求を推し量る能力を全く欠いているので、家庭や学校での私たちの社会生活において子どもの周りには、幼い生命の展開をじゃまする多くの誤った状況が生み出されました。」(「子どもの発見」マリア・モンテッソーリ著、仲村勇訳、日本モンテッソーリ綜合研究所刊より)

子どもたちの成長を助けることがあってもじゃまするようなことがあってはならないでしょう。そのために、大人たちには、見る目も、聞く耳も、考えも変えなくてはならないことがたくさんあります。生きている限り成長したいと願う中で思うのは、伸びることは難しくても変わることはできるのではないか、ということです。子どもたちから学び、ともに学び、自らを限りなく変えながら、ともに成長していきたいと願います。

「お仕事」の小窓 第8~9回

教室で行われた「小さい本」(言語教育)のお仕事を紹介します。「小さい本」は、3種類の本を読むことで、読むことに興味を感じ始めている子どもたちが単語を読み、また、単語を読めるようになった子供が文を読み、理解することを目的に行われます。

小さい本(1)
開くと片面にはある物の絵や写真が、もう片方には、その物の名前が一つ、書いてあります。

小さい本(2)
情景的な場面とその場面の中にある物の名前がいくつか書いてあります。

小さい本(3)
絵や写真と簡潔な文章で構成されています。

いずれにしても、「読む」ことが目的なのですが、実際に教室では、これが本作りと、書くお仕事に発展しました。

 

一つのクラスでは先生が小さい本を読み、これを作って見ましょうと提示をしたところ、みんな、大喜びで一斉にこのお仕事に夢中になりました。

もう一つのクラスでは、子どもたち自身からこのお仕事が始まりました。

 

 

 

 

 

 

 

「日常生活の練習」のために、針のないホチキスを用意しておいたところ、一人が、「本を作りたい」と言い始め、それに続いて何人もの子供たちが本を作り始めたのです。そこで、この機会を逃してはならないと、「小さい本」の提示を行い発展の活動として、本作りをあらためて紹介したところ、当然ながら、たくさんの子どもたちが、このお仕事に夢中になりました。「作りたい、読みたい、書きたい」そんな子供たちの欲求が爆発したようでした。もちろん、作品の中には、まだ正確な文が書ききれなくて、本人に聞かないと内容が分からないものもあります。それでも、文字や文章で自分を表現することの楽しさを覚えた大事な体験でした。これをきっかけに、全体として文字を練習したり、文章を書きたいという意欲が強まっています。何よりも、「私の本」を作った子供たちの誇らしげな笑みが、一番の実りです。