2018年5月の園長通信より、その一部をお届けします。
「仕える」ということ
若葉の頃。いつになく、自然の力、命の力を感じます。
子どもたちは、この自然から、宿題を課せられています。そして、その宿題を自ら実行する力を持っています。その宿題とは、発達し、成長していくこと。大人と子どもの違いは、まさに、ここにあります。その違いが良く分からないと、大人たちは誤りを犯してしまいます。それは、子どもを支配しようとすることです。良くも、悪くも、です。しかし、子どもたちは、大人に支配されるような存在ではありません。では、大人は子どもに対して、どうあるべきなのでしょうか。
実はこの時期に、大人も自然からの課題を課せられています。それは、「命に仕える」ということです。マリア・モンテッソーリは次のように語っています。
「子供の身体に仕えることではありません。生命に仕えるのです。身体に仕えて、服を着せたり顔を洗ったりすることは奴隷のすることです。生命に仕えるとはその逆です。子供が自分の心と身体を自分で使って、その時期に成し遂げなければならない課題に取り組めるように励まし続けることが、生命に仕えることです。大人がしてやるのではなく、子どもに自分でさせるのです」
若葉を茂らせている木々。その枝先までみなぎる自然の力。それが、子どもたち皆が持っている力です。誰が、それを支配できるでしょうか。自然の前に謙虚であるのと同じ畏敬の念をもって、仕えたいと願います。
「お仕事」の小窓 第5回
前回まで、続けて「算数教育」のお仕事についてお話しをしました。教室の様子をそのままお伝えしたいと思うのですが、なかなか、文字だけでは伝わりにくいものです。先生が集団提示をしたからと言って、全ての子どもたちが即座にそのお仕事に取り組むわけではありません。「これ、やってみたい」と取り組み始めるタイミングはそれぞれです。
今日は、教室で、子どもたちがどのように数の世界に触れているのか、その一端をご紹介します。
【算数棒と数字カード】
「できたね。」「うん。できた。」
二人で行ったお仕事が完成し、喜び合っています。
1から10まで、段階別に長さの異なる算数棒は、10段階に色が区切られており、子どもたちは数量を視覚的に長さから感じ取ることができます。
こちらも、同じお仕事に取り組んでいます。一人で黙々と…。
基準となる「1の棒」で、棒の長さを数えた後、数字のカードを立てかけます。
【算への興味】
シール貼りをしています。
数への興味は、低い年齢の段階から始まっています。
敏感期を逃さず、発達に合った教具でその興味を高め、深めていきます。
数字の埋め込みです。
最上段に0から1~9、左端に0から10~90の数字が並んでいる用紙を使って、縦と横に交わる升目に11から99までの数字を埋め込んでいきます。
教室では、お兄さん、お姉さんがお仕事に取り組む姿を見て、「あれやってみたい!」と言う小さいお友だちの声が、絶えることはありません。