ミライ園長通信 2018年4月

2018年4月の園長通信より、その一部をお届けします。

出会いの季節

まだかまだかと待っていた桜の開花ですが、咲いたかと思いきや、早くも花びらを散らせています。私たち人間は、毎年、咲いては散るその姿に、色々な思いを馳せているように思います。では、桜の花の側からみるとどうなのでしょうか。花の下に集う人々、そして、繰り返される別れと出会い…。桜は毎年、咲くたびに、そんな人生のドラマを目撃しては、また散っていく。そして、花の季節以外は、振り返られることもなく、そこにじっとたたずんで、人々を見守っている…。
出会いの季節。少しお兄さん、お姉さんになって、園に戻ってくる子供たち、そして、初めての園生活に胸を膨らませてやって来る新入園児たち。どの命と向き合う時にも、新しい気持ちで、出会いを大事にする心で迎えたいと願います。
花が終わってもそこにいて、じっと私たちを見守っている桜の木々のように。

「お仕事」の小窓 第4回

モンテッソーリ教育における「算数教育」の特徴の一つは、「数量・数値・数字」の三者の一致を大事にしているということです。数字の敏感期にいる子どもたちは、数えること、数字を読むことも大好きです。しかし、モンテッソーリ教育では、数字を読み始めたとたんに「1+1=2」というように、式を覚えることを強いたりはしません。感覚と動きを通して、十分に「量」に親しみ、理解し、それが徐々に数詞、数字と結びつき、演算へと導かれるように系統付けされているのです。

例えば、「セガン板」(写真上)というお仕事では、10が9つ並んだ板に1から9までの数字を差し込んで11 ~19を作っていきます。ビーズを使って11から19までの数量と数詞に親しんだ後、このように数字を並べるお仕事に進むのです。

今日は、前回紹介した「両替あそび」に続いて行った、金ビーズを使って行う「足し算」のお仕事を紹介します。

【足し算】(十進法による加減乗除の概念)

金ビーズと数字カードを使って、十進法による演算の概念を知っていきます。

この日は、「2121+3312+1465」の足し算を行いました。この足し算のお仕事は、先生と3人の子どもたちによって行われます。

「Aさん、先生に、2121を持って来て下さい。」先生は、1番目の子どもに予め準備しておいた任意の四桁の数を知らせます。子Aさんは渡されたトレイの上に、まずはビーズ集め、さらに数字カードを選んで並べて先生のテーブルまでもって行きます。先生は、トレイを受け取って、ビーズと数字のカードを確認してから、ビーズは赤いフェルトの生地が敷いてある机の上に順番に並べ、数字のカードはトレイに残したまま、渡します。2番目のBさんも、3番目のCさんも、同様に、それぞれ、「3312」と「1465」を持ってきます。先生は同じように、ビーズを机の上に並べ、カードはトレイに残したまま渡します。

「それでは、ビーズをきれいに並べ直して、数えてみましょう」

一緒になったビーズを1000のビーズ、100のビーズ、10のビーズ、1のビーズに分類して並べた後、それを子どもたちと一緒に数えます。1のビーズが8個で8、10のビーズが9個で9、100のビーズが8個で800、1000のビーズが6個で6000。子供たちに単位ごとに、数字カードを持って来てもらいます。そして、Aさん、Bさん、Cさんそれぞれが持ってきたカードを受け取って、上から順番に並べ、その下に、答えの6898の数字を並べます。「このように、数を合わせることを『足す』と言います」。

「算数教育」のお仕事には、「ここまで丁寧にしなくてはならないのか」と思うほどの過程があります。でも、布の中でビーズが一緒になるのを、息をのんで見守る子どもたちの目を見ていると、その過程こそが、生きて行く上で、自分で考え問題を解決していくための「力」を育てていくためなのだと、実感させられます。