ミライ園長通信 2018年11月

2018年11月の園長通信より、その一部をお届けします。

子どもを発見すること

「…そしてまた私たちの信念、つまり私たちの注意力とエネルギーを子どもを発見することに、そして形成されつつある人間の人格の偉大な可能性を発達させることに向けさえすれば、いちばんさし迫った課題である平和と統一を含めて、人類が直面しているいくつかの問題の解決を期待できるという信念も認められました。」(「子どもの発見」マリアモンテッソーリ著、中村勇訳、発行:日本モンテッソーリ教育綜合研究所)1948年11月、「子どもの発見」の第3版の発行にあたり、モンテッソーリ女史が前書きに記したものです。70年後の今も、依然として人類が直面している問題は山積しており、解決どころか、ますます複雑化しているかのように見えます。だからこそ、希望は子どもにあります。一人一人が生まれながらに持つ力。それをそのまま生かし伸ばして行けば、結局は世界の平和にまでつながっていくのだと信じること。教師たちには、そのような目で子どもを見守り、子どもを発見する責任が課せられているのです。それは、「大人」と呼ばれる者の責任でもあるというのは、あまり、強すぎる主張でしょうか。

「お仕事」の小窓 第11回

モンテッソーリ教育では、3-6才の言語教育のお仕事の中で「文法」まで扱います。「幼児に文法?」と思うかも知れませんが、子どもたちはとても自然に、この提示を受け入れ、理解し、消化して、自らお仕事に取り組んでいます。
 文法の提示には、「シンボルマーク」を使います。名詞は黒い三角形、形容詞は青の三角形、動詞は赤の円形をしています。子どもたちはすでに、絵カード合わせなどの活動で、物には名前があることを知っています。また、赤いカード遊びなどを通して、動きを現す言葉があることも知っています。「品詞の機能」のお仕事では、子どもたちがすでに知り、使っている、自分の中にため込んでいる言葉をその役割によって分類し、名称を与えていきます。

【名詞の役割とシンボル
 「〇〇さん、あれを持って来て下さい。」教師が一人の子どもにお願いします。こまったような顔で動けずにいると、お友達が、「あれって何?」「あれじゃ分からないよ」と声を上げます。「そうね。では、ここに書いてあるものを持って来て下さい。」そう言って、「えんぴつ」と書かれたカードを子どもに渡すと、喜んで鉛筆を持って来てくれます。机の上に鉛筆を置いてもらい、となりに「えんぴつ」のカードを並べて、「こんな風に、物には名前がついています。物の名前を現すことばを名詞と言います」そこで、名詞のシンボルである黒い三角錐を示し、カードの隣に並べます。
 「物の名前には、他に、どんなものがありますか?」と聞くと、たくさんの答えが返ってきます。「ねこ」「いす」「ペットボトル」…。教師はそれをカードに書いて並べていきます。そして隣に黒い三角形のシンボルマークを置いていきます。「シンボルは一つしかないので、シンボルマークを使いますね」。続いて、カードに書かれていることばとシンボルマークが現わしている「名詞」という名称を交互に声に出して言ってみます。そのころには、すでに、子どもたちにとって、「名詞」という言葉は何か難しい神秘的なものではなく、自分が十分に知っていたものなのだという感覚が生まれているのです

【名詞と形容詞のカード合わせ】
 上の段に形容詞を、下の段に名詞を並べるおしごとです。もちろん、「形容詞の役割とシンボル」の後で提示したものですが、子どもたちはたちまち、その楽しさに引き込まれています。

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